銀白色の鱗屑(皮膚の粉)をともない境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出ます。乾癬の患者さんの90%位がこの症状で尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)と呼びます。大きさ、数、形は様々で、発疹が癒合して大きな病変を作ることもあります。できやすい部位は慢性の機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などです。顔は発疹があまり出ませんが、これは紫外線が乾癬に対し良い効果があるためです。青壮年期に発症することが多く多発しますが、通常内臓を侵すことはありません。かゆみは約50%の患者さんにみられます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります。まれに発疹が全身におよぶこともあります(乾癬性紅皮症)。その他、喉が痛んだ後(扁桃腺炎)に雨滴状の小さな乾癬皮疹ができる滴状乾癬、重症の汎発型性膿疱性乾癬があります。
人口のおよそ0.1%と推定されています。昔は日本人には極めて稀と考えられていましたが、徐々に増加傾向にあり、現在では決して稀とは言えなくなりました。白人では人口の2~3%と言われており、頻度の高い疾患として知られています。
まだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることはわかっています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症すると言われています。欧米では頻度が高いことのほか、家族内発症が20~40%と高率です。日本での家族内発症は4~5%と欧米に比べてずっと低率です。
乾癬の発疹は、全身のどこにでも出ますが、擦れる場所に出やすいという特徴があります。具体的には肘・膝、臀部、下腿伸側などです。頭も毛髪が伸びる時、毛が皮膚をこするため好発部位となります。そのため入浴時にもあまり硬いタオルでこすることはよくありません。細いジーパンも好ましくありません。痒みのため引っ掻くことも皮疹の悪化につながります。
外用療法、内服療法、紫外線療法、注射・点滴療法の4種類があります。
通常、外用療法からスタートします。ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬が主に使われますが、各々特性が異なります。内服療法としては、レチノイド、アプレミラスト、シクロスポリンが主なものです。これに紫外線療法を加えた3つが基本的な治療法です。2010年からは、これらの治療法で十分な効果が得らえない場合、副作用などで内服薬が使えない場合には注射・点滴療法が行えるようになりました。
乾癬は慢性で発疹を繰り返し作る病気ですが、治療により発疹が完全に消失する経験は30~70%の患者さんでみられますし、長期にわたって発疹がでない、あるいは自然消褪する患者さんもまれではありません。
免疫の働きを抑えて炎症を抑える「ステロイド外用薬」、皮膚の細胞に働きかけて異常な増殖を抑える「活性型ビタミンD3外用薬」が用いられます。
紫外線の「免疫の働きを弱める作用」を利用した治療方法です。紫外線にはいくつか種類があり、乾癬治療では皮膚に悪影響を与えにくく、かつ皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する作用をもつUVB(中波長紫外線)が用いられます。使用する紫外線の種類によって、ナローバンドUVB、エキシマライトに分けられます。一般的には週2~3回の頻度で照射を行います。
中等症から重症の比較的症状が重い乾癬に用いられます。角質細胞の異常な増殖を抑えるレチノイド(チガソン®)、炎症を抑えるアプレミラスト(オテズラ®)、免疫の過剰な働きを抑えるシクロスポリン(ネオーラル®)が用いられます。
欧米で先に使用されていた治療薬で、2010年から日本でも使用することができるようになりました。乾癬が発症する原因となる物質をピンポイントで抑える治療薬です。有効性が優れた薬でほとんどの患者さんに効きますが、すべての患者さんに効くわけではありません。当院では使用が難しいため、関連病院への紹介とさせていただきます。